Oさん(女性)は相続したほとんどの土地を物納した後にマンションだけが財産として残った。居住する場所もなく困ったOさんは取引先の銀行A行の勧めもあり当該マンションを取り壊し、自宅併用マンションを建築することを決意した。相続によって突然マンションオーナーになったOさんは、当然のごとくマンション経営においては素人であり、入居者(四世帯)は簡単に部屋を明け渡してくれるものと思っていた。A行の紹介のハウスメーカーX社と建物請負契約を締結し建築確認申請するに至り、入居者に明け渡し交渉等何ら行わないうちに「建築のお知らせ看板」を掲示してしまった。入居者四世帯は疑心暗鬼になり、借地借家人組合足立支部に駆け込んだ。(この時点でOさん・X社はその事実は知らなかった)
建築時期が近づいたX社は当社をOさんに紹介し、Oさん・A行・X社・当社で打ち合わせの機会をもった。その席上でA行の融資担当者は立場、思惑も絡み、いとも簡単に明け渡しが出来るような発言をし、Oさんも立退き料は一銭も支払いたくないと発言。当社は明け渡しに関してOさん側に正当事由がないこと、立退き料の支払いの必要性を説明するが、Oさんは立退き料の支払いの必要性を理解できないでいた。
Oさんと当社間で立退きに関して業務委託契約を締結し、入居者に挨拶に伺ったところ入居者側は交渉の代理人として前出の借地借家人組合足立支部を指定してきた。次回以降、代理人と交渉を行うことになりOさん側の事情を説明し協力をお願いし、家賃の10ヶ月分をお支払いする用意があると提案したが、入居者達は基本的には部屋を明け渡す意思はなく、またその必要性も希薄であるとの回答。何度かの代理人との交渉の後、Oさんとも交渉し予算を計上してもらい、再度代理人と交渉したところ、どうしてもということであれば入居者達は一世帯当たり要求額を提示してきた。それを聞いたOさんは激怒し、しばらくは交渉の場を持つことさえ困難になった。X社もこのままでは請負契約もキャンセルになる可能性も出てきたため、X社・当社とでOさんを再度説得し交渉再開。代理人側も前回よりも具体的な金額を提示してきたため、このタイミングを逃すと再び交渉が決裂すると考えた当社は、X社に立退き料の一部負担をお願いするということでしか解決の方法は無いと判断。X社に相談したところ受諾、合意に達した。